文化人類学・人類学のおすすめ本・入門書13選

人類学・文化人類学 おすすめ 本 入門書
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人類学とは、人類の多様性を研究する学問です。またその中でも文化人類学とは、人間の生活様式全体(生活や活動)の具体的なありかたを研究する人類学の一分野を指します。

日常的な文化や振る舞いから、遠い海外の奥地の研究まで、その射程範囲の広さが特徴的な人類学・文化人類学ですが、いざ自分で学ぼうと思ってもどの本から手を付ければいいか悩ましいものです。

そこで今回は、人類学・文化人類学の初学者におすすめの本・入門書をご紹介!最後のほうでは、ちょっと難しい名著も紹介していくので、ぜひ気になる本があったら買って読んでみてください。

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文化人類学・人類学のおすすめ本1|人類学のコモンセンス―文化人類学入門

本書は、大学の一般教育の教科書として執筆された人類学・文化人類学の解説書です。本書は、人類学者にとって常套的な問題の切り取り方や語り口をささえている、一種の共通のセンスとしてのコモンセンスを伝えることが目的に書かれています。

ではどうすれば、人類学・文化人類学のコモンセンスを学べるのか。本書では、読者が研究者の調査や研究、そして人類学の作業を追体験してもらうことで学べる仕様になっています。人類学・文化人類学を大学で学ぼうとする人や大学院生で体系的に学びなおしたい人におすすめです。

文化人類学・人類学のおすすめ本2|文化人類学入門

文化人類学とは、社会・文化・経済・宗教をはじめ諸分野にわたって、またそれぞれに異なる世界の民族を比較検証する広範な研究対象を視野に収めた学問です。その方法論として、フィールド・ワークによる具体的でしかも忍耐強い実証的な調査が重視されます。

本書は、この多岐にわたる学問を系統的に要約整理した入門の書として、1979年刊行以来、多くの読者を得て版を重ねてきたものを増補改訂し、学界の新しい情報を提供しています。

文化人類学・人類学のおすすめ本3|よくわかる文化人類学

学界の最前線で活躍している研究者が、文化人類学の主要なテーマをやさしいことばで解説し、その面白さと奥深さの両方を伝える1冊。

ミネルヴァ書房のよくわかるシリーズは、読みやすく理解しやすいことで知られています。本書の特徴としては、①重要なトピックをそれぞれ見開き2ページ(または4ページ)で解説している、②図表を豊富に用いたわかりやすい紙面構成になっている、③全体を通して文化人類学の主要な知見と考え方が理解できることです。

文化人類学・人類学のおすすめ本4|メイキング文化人類学

文化人類学では、フィールド調査、エスノグラフィーと呼ばれる調査を研究者たちが行います。この方法論は人類学を人類学たらしめているものであり、フィールド調査は人類学・文化人類学のアイデンティティといえるでしょう。本書では、具体的な研究者と作品をもとに、人類学・文化人類学の調査方法を解説しています。方法論を学びたい人は必読です。

文化人類学・人類学のおすすめ本5|人類学とは何か

本書の著者は、現代思想、アートをはじめ、ジャンルを超えた影響と挑発をあたえつづけるティム・インゴルドというイギリスの社会人類学者です。

世界レベルで知をリードする巨人が語る、人類学と人類の未来を示した本書は、世界が直面する未曾有の危機と人類学を絡めて論じている点で特徴的な入門書だといえます。

文化人類学・人類学のおすすめ本6|21世紀の文化人類学

『文化を書く』のことへの批判、グローバル化による「未開」の消失など幾多の危機を乗り越え新たな地平を開こうとしている人類学・文化人類学。そのパラダイムシフトの認識=存在地図を、超越論的、不可量部分、生成変化、存在、レジリエンス、リスクなどの新鮮なキーワードで描出しています。

文化人類学・人類学のおすすめ本7|文化人類学キーワード 改訂版

文化人類学という幅広い学問分野の中から、100の基本的なキーワードを厳選し、見開き2頁で解説している本書。初版刊行後10年間の社会の変動と学問の進展を反映させるため、各項目のヴァージョン・アップをはかると同時に必要に応じて新しい項目に入れ替えられています。

学部生も大学院生も手元に1冊置いておいて損はない本です。

文化人類学・人類学のおすすめ本8|新・全訳 須恵村-日本の村

ここから紹介する3冊は、入門書から少しレベルアップした人類学・文化人類学の名著です。『須恵村』は、熊本県で最も小さな農村須恵村にやってきた社会人類学者ジョン・エンブリー一家が書いた戦前日本の人類学的研究書

戦前唯一の日本農村研究書として知られる本書は、ベネディクトの『菊と刀』やGHQの戦後改革にも多大な影響を及ぼしたエンブリーとその妻エラが、共感をもって洞察した〈協同〉社会の精神を未来に向けて問う1冊。最近、新版が出たばかりでちょっと下ブームになっているので、ぜひ読んでみてください。

『須恵村』を著したジョン・エンブリーとエラの生涯、研究背景、そして『須恵村』の読解所として優れた解説書。以下のように、多くの民俗学者・人類学者・社会学者が評価する『須恵村』の裏側や背景を知りたい人におすすめです。

◎今西錦司「一村の全貌をつたえるという点で、『スエムラ』の向こうを張るようなものは、まだわずかしかない」

◎宮本常一「外国人のすぐれた調査記録として、当時学会に大きな反響をよんだ」

◎梅棹忠夫「日本の農村研究は須恵村からはじまったといえる」

◎鈴木栄太郎「外国人としてこれ以上に日本農民の心を読みとる事はおそらく望み得ないであろう」

文化人類学・人類学のおすすめ本9|西太平洋の遠洋航海者

『西太平洋の遠洋航海者』は人類学者のブロニスワフ・マリノフスキーによって1922年に書かれた本です。機能主義という分析方法を提示した点で、現在でも評価されており、文化人類学への影響を考えると必ず読みたい1冊です。

マリノフスキーはニューギニア東部の島々で行われているクラという交易を調査しました。クラ交易で交換される品々はのちに「互酬性」呼ばれ、人類学の重要な研究分野へと発展しました。

文化人類学・人類学のおすすめ本10|野生の思考

『野生の思考』は人類学者のクロード・レヴィ・ストロースによって1962年に書かれた本です。日本でも人気があり、さまざまな場面で紹介されることも多いのでレヴィ=ストロースの名を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?

本書はとても読解が難解ですが、レヴィ=ストロース抜きで、本書抜きで人類学を語ることはできないほど影響力があります。以下の解説書とあわせて読むことでスムーズに理解できると思うので、ぜひ挑戦してみてください。

『野生の思考』が最も分かりやすく解説されているのが、NHK100分de名著から出版された、こちらの解説書です。この本を読み、次に以下の新書を読み、そのうえで『野生の思考』を読むと、理解しやすいと思います。

本書は、レヴィ=ストロースの代表作『親族の基本構造』『野生の思考』『神話論理』をとりあげながら、彼が未開社会の親族構造や神話研究から汲みあげた豊かな思考の可能性の核心を読み解く1冊です。

しばしば誤解されがちな、だけど人類学・文化人類学においてはとても重要な概念「構造主義」をしっかりと理解し、ポストコロニアル論にも活かしていくための新しいレヴィ=ストロース入門書。レヴィ=ストロースという人物を知りたい人におすすめです。

最後に-人類学・文化人類学をよく知るためには隣接分野も大切!-

人類学・文化人類学 おすすめ 本 入門書

本記事では、人類学・文化人類学を学びたい人におすすめの本を紹介してきました。学問分野は、独立して存在するのではなく、常に隣接分野と影響しあいながら発展するものです。

以下の記事では、人類学と相互に影響を与え合っている社会学や民俗学などの入門書やおすすめ本を紹介しています。興味関心ある方は、ぜひあわせて読んでみてください!

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